さて、この夏の猛暑と台風によって影響を受けたのがキクです。キクは品種・品質の差を考慮しなければどこでも作れます。なので全国津々浦々でバラとキクだけは生産されている。規模の差でもって特産地などはございますが。しかしお花は暑すぎると育成が止まるのです。花を付けなかったり成長が止まる。そして遅れてもまだ挽回の秋彼岸時期に合えば良いのですが、これも台風被害によってビニールハウスごと吹き飛んでしまうなどの被害が…。生産者さんとしては泣きっ面に蜂です。どれだけの被害総額となるのか。随分前ですが、「そもそもどうしてビニールでハウスを作るのか?初期投資でもって強化ガラスの堅牢なハウスにすればいいのではないか?」と疑問をぶつけたことがあります。なにやらこれにも理由があるようですが、きちんと説明するに時間が掛かるという理由から回答をされないままだと思い出しました。…そしてキクの被害はほかのお花の相場にも影響をします。キクの代用品を探すようにいろいろな花も相場が高騰するのです。入荷していればまだ良く、生産地からの荷ごと無くなる。こうなってくると欲しいものが手に入らないという状況が起こります。これからは生け花など秋の展覧会シーズンにも被ってくると考えると頭が痛いわけです。例えば「後継者不足で生産を辞める」という理由から無くなっていくお花もありますが、誰かがどこかで作っていたりする場合もございましたし、無くなるというにも方向性が違います。しかし今回は天災による品薄。いつかは戻る生産量なのです。これを期待してもおそらくこのまま年内はキクの入手が難しいのではないか…という声も聞こえています。
これからは欲しいお花が手に入らない、入荷しないという事例が増えてくる、または入荷不能が当たり前になる品種のお花も出てくることでしょう。しかしその都度都度に正確な情報を持って行動しないと、じつは生産していた事を知らないままお断りしてしまう機会損失を招きかねない。どこの生産者が何をどれくらい作っているのか…。もっと正確に知り得る方法はあると思うのですが、市場は依然として小売りと生産者の直接のやりとりを快く思わない事例も多々たります。生産者も小売りもITを駆使する事例はあまり聞きません。情報化から最も遠い場所にあるのかも知れないとさえ思うのです。
以前、うなぎ屋さんの社長に言われました。「花屋さんはいいよねぇ。お花は沢山の種類があるから。うなぎ屋は入荷できないからといってウナギ以外を使うわけに行かないでしょう」と。ウチより大変な所は沢山あるのだと身を引き締めたわけです。
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