2017年08月13日

#680 研ぎのこと

お盆、皆様いかがお過ごしでしょうか。当店は言わずもがなお盆特需の繁忙期にて疲労困憊な体に薄れゆく意識をなんとかつなぎ止めて頑張っております。店長です、こんにちわ。ウチのスタッフ達の頑張りは素晴らしい!

さて、この忙しくなる直前には決まって、花屋の命でもありますハサミを砥石を使ってジックリと研ぐわけです。一般的なお花屋さんの持っているようなハサミではございませんで、生け花などで使用するハガネのハサミはステンレス製とは違い、砥石によって何度も鋭利によみがえります。思えば私が子供の頃、お小遣いほしさに手伝った最初の仕事はこのハサミ研ぎでした。そう難しい事じゃ無いんですよ。鋭利にするだけなら結構簡単です。子供にも出来ます。しかしいつしかこの仕事を継いで、自分の道具を自分で研いでいく時、その意味合いが変わると申しますか、色々と考えが巡ったりするんですね。まずはハサミに対して日々の感謝から始まり、この後の繁忙期にも激しい使用に耐えて貰おうという願いや、今後の仕事をどうやっていくか、ハタから見たら怖いシーンだろうか、案外カッコ良く見えたりするのかな、とかとか。
昔、日本刀を作っている刀鍛冶(かたなかじ)をテレビで見たことがあります。彼らは願掛けというのか、祝詞(のりと)をあげて作業の安全祈願なのか、刃に魂を込めようとしているのか、とにかく神々しいと感じたものでした。原型の出来上がった刃を研いで美しく仕上げていく工程はまさに、米を磨いて日本酒を造ろうとしていく所作に通じ、生け花で凜とした空気感に枝物を活けていく所作に通じ、「無駄なものを極限まで削いでいく」日本の美的センスそのものだと感じたものです。
花屋のハサミ研ぎもこのようにありたい!と、思うのですが、、まぁそうそう格好いいものではないですね。鋭利になるぶんだけ指を怪我する危険は高まるわけですし…。(実際に当店スタッフも今回ばっさりと…)研ぎは神事だ!花屋の魂を込めている作業なのだ!そんなことを考えながら黙々と半日かけてハサミを研いだのでした。

ちなみに研ぐためには砥石の表面が平坦でなければ真っ直ぐな刃を研ぐことはできません。刃を研げば砥石の表面はボコボコになります。この砥石の表面を平坦に戻すため、砥石と砥石を擦り合わせて平坦に戻しますがこの作業を「切磋琢磨」と言います。

無駄なものだらけの店長でした。

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